Bakery社CEO Erwan Maigret氏
2011年9月9日、『インタラクティブライティング・レンダリングシステムBakery Relightの紹介』と題して、Bakery社CEO Erwan Maigret氏によるセミナーが行われた。
まず、
●プロダクションパイプラインについて
『シュレック』から『マダガスカル』などの劇場公開アニメーションがどのようにつくられてきたのか、
次に、
●プロダクションの最適化について
Bakery Relight を使って、DreamWorks社などのハリウッドの手法を紹介し、
最後に、
●Bakery Relightがどのようにパワフルな製品でどのように活用してほしいか、
の3部構成で行われた。
【パイプラインとは・・・】
・部門の管理
・ワークフローの管理
・演出以外の管理
・日々挑戦し成長していける柔軟な対応チーム
を構築すること。
【典型的な劇場公開アニメーションのパイプラインの説明】
制作を最適化し、効率良く作業するためには、各工程を同時進行させることが重要であり、同時進行することで発生するピークタイムを、実際の進行に合わせ、遅延無く処理できるかが大切である。
各担当工程間のコミュニケーションをとり、全体工程の進行を把握するのが、PED(Production Engineering Department)で、重要な役割をする。
ここでは、一般的なパイプラインについて説明をする。
<スクリプト(脚本)>
<ストーリー (絵コンテ)>
<Art Visual development(キャラクターのデザイン)>
実際にCGを作る人の参考絵になる
↑ ここまでが2次元データ
↓ 次から3次元データになる。
<Layout (カメラ配置やタイミングの調整) >
レイアウトでは、絵コンテを3Dにする担当
カメラ配置やタイミングを計る役割
<Modeling>
先ほどのレイアウトと並行作業
実際のCGを作る作業
<Rigging>
モデリングが完璧に終わったあとに行う作業
どのように動かすかの設定と、デフォメーションを行う。
サーフェシングと並行して行える作業
<Animation>
Lightingと同じくらいで、総労働力の30%近くがかかるとても重要な工程
例えば、80分の尺で1300ショットあり、アニメーターの人数が多く、最適化と効率化が大切である。
<Surfacing, Shading>
モデリング後に、テクスチャリングとシェーディングが行われる。
キャラクターがいかによく見えるかという表面の部分を担当。
<Lighting>
アニメーション作業終了後に、実際の映画で撮影するように照明をあてる作業を担当。
<Effects>
煙・火・水や、キャラクターが溶けるなどの特殊効果を担当。
時と場合に対応して、いろいろな特殊効果を演出する。
<Matte Painting>
背景などの2Dの絵全てのこと。
<Rendering and Compositing>
最終工程。
Dream Works社では、Compositingという専門の部門はなく、Effectチームと協力して、合成している。
以上の工程で実際にパイプラインを指揮するのは、プロダクションエンジニアリング部門。
PED(Production Engineering Department)
【Bakery社とは】
大規模でない会社用に、ライティングを中心にツール開発している会社。
実地試験済みで信頼性がある。
3Dアニメーション制作に精通しており、ソフトウェア開発を中心としてパイプライン構築に関与し、制作の効率化に関する協力が可能。
「技術的な面は、Bakery社に任せて、皆さんは制作に専念して欲しい。」とのこと。
【Bakery Relightの特徴】
プラグインやモジュール、インターフェースですらカスタマイズ可能、という強みがあり、
以下のことが可能。
・インタラクティブに最終映像にライティングできる
・高速なレンダリングエンジン
一般的なシーン編集用に簡単なコンポジットツールを作り、無料にてダウンロード可能にしたそうだ。是非お試し頂きたい。
このソフトウェアはオープンソースであり、様々なソフトウェアの開発が可能な他、C++をはじめ使用言語も多様であり、高度なカスタマイズが可能である。
<Bakery社のソフトウェアができること>
・ビジュアルデベロップメント
・シェーディング
・ライティング
・FX
・非常に高速なレンダリング
・最終段階での微調整が、Bakery社上で可能
・パイプライン管理
以上の機能により、ハリウッドで映画を制作する際に、必ず必要になるプリビズにおいて、現状ではアニメーションやカメラのタイミングを見ることが中心の簡単なものだが、ライティング部分も含めたプリビズができるようになる。
<生産性について>
レンダリングには大きく分けて、以下の3つの手法があるが、Bakery社では③の手法をとっている。
①マルチレイヤー
大多数の人が利用する方法で、合成のコンポジットにて細かい色調整や、ライトの調整を行う。
②GPUレンダリング合成
レイヤー数の限界が多いのであまり利用されていない
③インタラクティブレンダリング
Bakery社のアプローチであり、従来の合成ではなく3D上のコンポジットで全てを行う。
<典型的なアニメーション会社の負担額内訳>
ここで、制作費用の負担額軽減例について説明がされた。
まず、全体において、電気代はかなり大きな負担であることに着目して頂きたい。
映画全体のプロダクション予算を200ミリオンユーロ(約20億円)と想定。
Bakery社としては、電気代がレンダーファーム稼動費用の半分近くかかっていることを認識してほしく、また人件費を抑えるのは難しいので、削減対象はインタラクティブレンダリングや、バッジレンダリングのコスト削減を模索するべき。また、約20%(4.1ミリオンユーロ)もの予算がライティングに使われており、その内11%を削っていくことを提案している。
更に、例えば立体視にすることで、ストレージと労働力も増え、従来より15%程度予算アップすることになるのを認識してほしい。
<Bakery Relightにより、コスト削減が実現>
・演出部分での管理(完成形のイメージがきちんとできる)
・リソースの最適化 (キャッシングとリサイクルにより計算を節減など)
・コンポジットの削減 (データサイズが減ることで、ネット帯域の削減。立体視の迅速な実現)
まず、レンダリング時間を削減することで、労働力の10%カット、レンダリング時間の50%削減が実現し、ソフトウェアに関しても10%削減可能と、全体として、90ミリオンユーロもの削減が可能になる。
続いて、Bakery Relightの具体的な機能に関する説明が行われた。
【Bakery Relightの主な機能】
●ポイントクラウドによって可能になる高度なデータ処理
●アンビエントオクルージョン
●グローバルイルミネーション
●サブサフェーススキャタリング
●インタラクティブライティング
最終品質の画像を数秒でレンダリングできる
マルチプラットフォーム対応
カスタマイズ可能なレイアウト
独自のコンポジット機能
● ヘアのレンダリング
●Complexity
非常に複雑なシーンでも最適化によって処理できる
<キャッシングの最適化>
・シャドウマップによるシャドウキャッシュ
・分散レンダリング
・ポイントクラウドの生成
<パイプラインマネージメント>
キャラクター、ライティングなど全てが各ノードにあり、結合し、最終的なシーンとして、図式化されている。
<これからの拡張性>
・パーティクルの管理機能
・2D/3Dのヘアーペインティング
・イメージビューワ
・アニメーションとコンストレインの管理
・ポイントクラウドビューワ
「現場が必要な機能はなんでも取り込んでいく」
とのこと。
【Autodeskからのお知らせ ~Maya、Max、Softimageとの連携~】
専用のプラグインがあるので、シーンをフォーマット変換して移動することが可能。
リファレンス機能であるリンクなど全て、Bakery Relightに移動できる。
Bakery Relightのフォーマットに変換し、ライティングを設定した後、Mayaで変更作業しても、Bakery Relight上の作業は残り、後戻りする必要はない。
Iceパーティクルなどは、情報をキャッシュで持っているので、その情報をそのまま使え、ライティング調整とシェーディング、マテリアル設定をし、最後にレンダリング、コンポジットを行うことが可能。
例えば、Mayaで背景をつくり、Maxでキャラクターをつくり、Softimageでパーティクルをつくって、それらをBakeryで3Dのシーンとして合成できるので、各ユーザーのソフトを意識せずにレンダリングが可能である。
また、レンダリング時に、Relight以外に、メンタルレイを選択することも可能とのことだ。
取材・執筆:角田 福美(つのだ ふくみ)
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